第6章 コネクト
「わ、私に…出来るでしょうか」
否定の言葉を求め、おずおずと訊ねる。
…いや、無理でしょう、無理だと言って下さい!
「サンジェルミが君を寄越したんだ、問題無いだろう。それに報酬の半分は既に支払っている……今更出来ないとは言わせないよ」
がっちりと肩を掴むしゃいろっく殿はもはや地獄の閻魔様にしか見えない。
あれよあれよと事が進んで、私は今舟の上で波に揺られています。
旅のお供は船頭さんと護衛さんの二人。
流れ着いたと言われる船は想定外の大きさで、身に着けた兜一式とともに道端に放り出された私とはえらい違いだった。
「舟を止めろ!」
遠くが見える不思議な筒を覗いて護衛の男が言った。
「ど、どうかしました?」
「ドリフに警戒されてこれ以上は近づけない」
見てみろとでも言う様に筒を私に手渡した。
せめてもう少し近づいて貰わないと、話し合いも何も出来ないじゃないかと、筒を覗く。
鉄の船の甲板に立つ初老の男が、こちらに向け何かを構えている。黒くて、長細い筒のような物と言えば思い当たるのは一つしかない。
「種子島…」
船頭と護衛の男は顔を見合わせる。
「おいアンタ、あれを知ってるのか」
「え、あ…はい、私の昔いた所では種子島とか鉄砲と呼ばれてました。火薬で鉛玉を撃ち出すとても恐ろしい武器ですが…幸い、この距離ならまず届きません」
ぱしゅん。
「えっ?」
パンッと乾いた破裂音と共に、鉛玉が小舟を掠めた。