第3章 魔法のコトバ
自分の部屋に戻って私は自分の不甲斐なさに泣いた。
思えばここの所、失敗続きだった。
仕立ててもらったばかりの服を木の枝に引っ掛けて大きな穴を作ったり、化粧を落とした伯爵を盗っ人と間違えて後ろから襲い掛かったり、花壇の水やりの際近くに天日干ししてあった薬草を濡らして駄目にしてしまったり。
私がどんな失敗をしてもこんなに酷く叱られたことは無かった。
けど事あるごとに伯爵は言った「女とわかってたら拾わなかった」と。
だから今回こそは本当に捨てられてしまうんじゃないかって、そんな考えが頭から離れない。