【名探偵コナン】降谷さんが好きすぎて辛い【トリップ】
第1章 終わり、そして始まり
「いや、用事といいますか…」
なんだこのデジャヴ!
さっきと全く同じような状況じゃないか!
しかしここで逃げてもどこかへ行く宛もない。
……全てをこの人に伝えてしまっても良いんじゃないだろうか。
そう思い口を開こうとした瞬間ー
「君は一体何者なんだ。」
鋭くなった目付き。そして急に張り詰める空気。
な、なに……?なんかいきなり沖矢さんが怖く…………
「君の事はボウヤから聞いている。」
ボウヤ……思い当たるのは1人しかいない。
「…コナンくんの事ですか」
彼には確かに接触したし怪しい姿も見られてはいるが……それだけで私に目をつけ、わざわざ沖矢さんに連絡するだろうか?
「そうだ。名乗りもしないボウヤの名前を見事言い当て、こちらへ向かった怪しい女が居るから気をつけろ とな」
「あ…………」
迂闊だった。元太くんだかあゆみちゃんだかの名前が聞こえてたし、無意識に名前を言ってしまっていたらしい。
ここまでの失態を犯してしまっているならもう今話すべきだろう。
「あの、全てを話すので家にあげてもらえませんか。…………赤井さん。」
「……ほう」
“ 赤井さん”あえてその名を出したのは私はあなたを知っていると伝える為。
しかし赤井さんは私の事を何も知らないのだから、そちらからしたら私は危険人物の1人だろう……。
早く誤解を解いて貰って、私は普通の生活がしたいんだよ……
「……で、君はなぜボウヤの事を知っている。勿論俺の事もな。」
新一くんの家に招かれ中に入った。
シチューをすぐ台所の傍に置き、変声機のスイッチを切るや否や、胸の内側にあるポケットから出てきた拳銃がこちらを向いた。
「……あの、確かに警戒するとは思うんですが、敵じゃないんでその物騒な物をしまってくれませんか」
私は思いの他冷静だった。確かに拳銃なんて見た事も無いし実際怖いとは思う。
しかし“ 赤井秀一”はその様な事をする人では無いと知っているから冷静でいられるのだ。
「私組織の人間じゃありません。FBIの貴方が一般人の私に拳銃を向けるなんてやめてください。」
「……フッ、そこまでお見通しとはな。」
まさかFBIや組織の事も知られているとは思わなかったのだろう。赤井は素直に拳銃をしまい、「そこに座るといい」とソファーを指差した。