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【名探偵コナン】降谷さんが好きすぎて辛い【トリップ】

第3章 ポアロ


「いっ…」

………痛くない…

咄嗟に目を閉じて閉まっていたが、間近に体温を感じつつおそるおそる目を開けてみる。

「……怪我はありませんか?」

危機一髪、私の真後ろの安室さんが両手で頭上のフライパンを支えてくれていた。

「あ……ありがとうございます……!!安室さんこそ大丈夫ですか!?ごめんなさい私ってば……!!」

申し訳なさと恥ずかしさが込み上げ、しっかり目を見て謝ろうと勢い良く後ろを振り向くと、バランスを崩しそのまま前のめりになる私。

「わわっ!!」

「おっと」

ポスン……と次は安室さんの胸の中。

「……はは、さん割と危なっかしいですね?」

フライパンを持っていない手で私の頭をポンポンと触りながらクスクス笑う安室さん。

「うっ……すみませんん……」

私もう25だよね…!?ドジっ子じゃあるまいしなんたる失態……
恥ずかしすぎて顔挙げられない……このタイミングで頭ポンポンも本当に心臓に悪い……ありがとうございます!!

すると降谷さんは手を止め、笑顔を見せながらも私を見つめる。

「……泣き顔より、今の顔の方がずっと素敵ですよ。」

泣き顔……確かに、安室さんに会えた時は感動のあまり泣いてばっかりだったな私。

「ふふ…その節は本当にすみません。…気にされてたんですか?」

その事を気にしてくれていたのが嬉しくて、ついつい調子に乗ってしまう。
にやついた私を見て「泣かれたのは初めての経験だったもので」なんて安室さんも笑った。

ああ、この時間がずっと続けばいいのに…
そんな事を思ってると、不意に安室さんが真剣な眼差しで私に問いかける。

「あの、答えたくなければ結構なのですが……何故僕を見て泣いてしまったんですか?」

「……うーん、」

“大好きすぎるから”

一言で言えばこれだ。今までずっと会えなかった、会えるはずもない大好きな人が目の前に現れたら誰だって涙が溢れるかと思うけど……さすがに言えない…

「……さん?やっぱりダメですか…?」

下を向く私の顔をのぞき込む安室さん。あああやめて!くりくりの目で首を傾げないで可愛すぎる!わざとなの…!?ほんとそんな所が「すき…」

「……え」

「へ?」

つかの間の沈黙の後、キョトンとした安室さんを見て自分がつい口から出してしまった言葉を思い出し後悔するがもう遅い。
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