第1章 〜別れの始まり〜
あれから1週間。
朝になれば目が覚めるし
会社に行けば同僚と冗談を言い合ったりする。
コーヒー豆を買い忘れたりしないし、
観葉植物に水だって忘れない。
ああ、こういう時でも意外とフツーに
過ごせるんだなぁって
他人事みたいに
妙に関心したりして。
神崎さんは1週間後にまた来ますと言って
呆然とするあたしの前に
1枚の紙と少し厚みのある封筒を置いていった。
紙は誓約書。
封筒の中身は500万。
潤との事を今後一切口外しないこと。
潤との写真・その他映像は全て事務所に
提出、破棄すること。
それが誓約書の内容。
500万は俗にいう手切れ金。
1週間、潤から連絡はなかった。
あたしもしなかった。
潤の口からちゃんと話しを聞きたかったけど
今、潤と話したら
潤を傷付ける言葉が溢れて
止まらなくなる気がしたからこれで良かったのかも。
もうあたしのことを好きじゃなくても
嫌われたくはなかった