第1章 〜別れの始まり〜
ソファに座ってもらい、コーヒーを煎れようと立ち上ると
「お茶は結構です。少し込み入った話しになりますので
お座り下さい。」
と言われ黙って神崎さんの前に座る。
短い沈黙にも絶えられず
恐々聞いた。
「潤に何かあったんですか・・・?」
「愛利さん。松本との付き合いはどれ位になりますか?」
「えっ・・・と。6年です・・けど・・・。」
あたしと潤が付き合い始めたのは
6年前。
まだ高校3年生だった時だ。
「長いですね。」
「そう…ですね。」
質問の真意が掴めずに戸惑いながら答える。
少し視線を外してた神崎さんが
真っ直ぐあたしを見てこう言った。
「単刀直入に言います。」
「はい・・・?」
「うちの松本と別れて頂きたい。」
「!?」
言葉が出なかった。
「松本と別れて下さい。」
神崎さんの言葉ははっきり聞こえてたし、
意味も理解できた。
でも神崎さん。
どうしてあたしはあかの他人からそれを
言われなきゃいけないんでしょうか。