第6章 〜神崎さん〜
「神崎さん。
あたしは潤が大好きでした。
・・・高3の時体育祭の片付けを二人でしていた時
『俺の彼女になって下さい。お願いします。』
と言ってくれて夢みたいって思いました。
あたしはそれからずっと夢を見てました・・・。
悩み事や心配な事があっても
大丈夫だよって頭を撫ででくれると
全部うまくいく様な気がしました。」
ひとつひとつ思い出しながらゆっくり話すあたしの話しを
神崎さんは自分のコーヒーを見つめながら
何も言わず聞いてくれていた
「失敗したご飯を『なかなかいけるよ』なんて言いながら・・・残さず食べてくれました。
花火大会なんてふたりで行けなかったので
あたしの部屋のベランダから
手を繋いで見ました。
・・・新入社員の頃、仕事がうまくいかなくて先輩にも怒られて・・・
会社に行くのが嫌になった時期がありました。
潤が1週間毎日お弁当を作ってくれました。
休みの日、DVDを観ながらいつの間にかあたしの膝で眠る潤を・・・
愛おしいと思いました。
キスシーンが嫌だと駄々をこねると
『気持ちの入り方が違うんだよ』と笑って
優しいキスをしてくれました・・・。
『おいで』・・・と言って差し出してくれる手が
大好きでした・・・。」