第6章 〜神崎さん〜
あの日から3ヶ月
テレビはほとんどつけてない
ふいに現れる潤を見る勇気は
まだない
それでもやっぱり潤の名前はちょくちょく目や耳に入ってきて
それは街ですれ違う女の子達の会だったり
電車の中刷りだったり
その度にあたしの心は
少し震える
早く全部吹っ切らなきゃ
心が擦り減っていく事は分かってる
でもその術をあたしは見つけられない
その日
一日の仕事を機械的に終えて会社の入ってるビルを出ると
正面に知った顔があった
あたしに気付くと軽く頭を下げて近づいて来る
「お久しぶりです。」
相変わらずスーツをビシッと着こなす彼の口調は
あの時より少し優しくなった気がする
「神崎さん・・・。どう・・したんですか?
あたしを待ってたんだろうか
「あの時の事・・一度ちゃんと謝りたいと思いまして・・・。」
神崎さんは少し緊張気味にそう言った
「少しお時間を頂いても宜しいでしょうか?」