第5章 〜私×潤〜
「潤。
あたしは潤が大好きだったよ。
高3のあの日体育館で差し出してくれた手を取った事。
後悔したことなんて一度もない。
何日も会えなくても毎日潤を想ったよ。
嫌な事があっても、落ち込んでも潤の笑顔を想うと
全部大丈夫な気がした。
潤が側に居るとあったかくて、優しくなれた。
潤。
あたしは幸せだったよ。」
一言一言
潤にちゃんと伝わる様に
噛み締めながら言った
「・・俺・・・ごめ・・・っ」
見上げる潤の目から涙がこぼれる
「やだ潤。泣かないでよー」
茶化す様に言ったけど
潤の目からこぼれ落ちる涙は止まらない
「ほらっ。男はそんなに泣いちゃいけないの。」
あたしはそう言って指で潤の涙を拭う
そして潤の頬に手をあて
最後のキスをした
何百回
何千回
数えきれない程重ねた
最後のキス
「ごめんね、潤・・・。」
「幸せになってね。」
唇を離すと同時にそう言って
そのまま部屋を出た
あのままあと1秒でも居たら
涙がこぼれそうだった