第5章 〜私×潤〜
翔くんに言われたホテルは
都内の一等地にある有名ホテルで
慣れてないあたしは
少し気後れしながらロビーを通る
エレベーターが階を上がるにつれて
どんどん足が震えてく自分に気付いた
潤に会うのが怖かった
別れを言われる事が怖いんじゃない
それを聞いて
自分がちゃんと笑ってさよならを言えるか
自信がなかった
これからの潤の足枷にならない様に
あたしはちゃんと笑ってさよならを言わなきゃいけない
ドアの前で大きく深呼吸をする
このドアの向こうに潤が居る
自分の腕時計を見ると
10時を5分過ぎてた
ああ
早く入らなきゃ
誰かに見つかったらきっと騒ぎになる
早く
どうしよう
潤に会うのに
こんなに勇気がいるなんて
逃げ出したい
そんな事を考えてたら
突然ドアが開いて
目の前には
潤
「何か・・・居る様な気がして・・・。」
ぎこちない潤の言葉
「・・ごめん。遅れちゃったね。」
あたしは少し笑って言った
うん
大丈夫
ちゃんと笑えるよ
大丈夫