第3章 第1章 ベルセリアの世界へ
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それは、まだ導師が生まれる前の物語。
「ベンウィック大変だ! 人が浮かんでる!」
「本当だ。急いで助けないと」
木の板にうつ伏せで乗るようにして、一人の女性が漂流していた。
彼女を助けたのは悪名高き【アイフリード海賊団】
その船員たちだ。
「女、だよな。」
「女だな」
「結構いい女じゃねーか」
彼女を取り囲むように船員たちはそれぞれの感想を述べる。
「・・・・・・」
ただ、一人だけ無言で彼女を見つめる人物が一人。
アイゼンという名のこの海賊団の副長だ。
アイゼンは聖隷。と呼ばれる特殊な種族の為、通常の人は見ることができない。
対魔師と呼ばれる人々か霊応力という力がある者ならば見ることができるらしいが、
残念ながらこの船でそれが出来るのは船長のアイフリードだけだ。
そして、現在アイフリードは別行動にてこの船【バンエルテイア号】には乗っていない。