第2章 【カルト】約束するね【閲覧注意】
森の中には黒塗りの怪しいワゴン車が停めてあり、トランクから1人の男が縄を引っ張り出してくると、アズサの両手首を後ろで縛って自由を奪った。
もう1人の男は、地面に座らせられたアズサと目線を合わせるようにしゃがみ込むと、顎を掴んで、ぐいっと顔を男の方へと向けさせて、品定めするように顔や体をじっくりと見た後、下卑た表情で笑いながら下品な言葉を口にした。
「……おぉ……よく見りゃマジでかわいいじゃんよ。……なぁ……クライアントに渡す前に一発楽しまねぇ?あー、たまんねぇ………しゃぶらせてぇな……ヘヘッ…。」
「おま…ッ、変なことすんのは止めろよ。客に傷モン売るわけにゃいかんだろ。ウチの看板に泥塗ることになんだろうが。」
『……何のこと…?どういう意味なの…?
売るって何…っ?』
「あ?…あー……。
まぁ言っても影響ねーし、いっか。
いやなぁ、お前さんに一目惚れしたとかいう富豪の老人がいてな、その人がどォしてもお前が欲しいらしくってさ…。連れてきてくれって、金を積んで頼んで来たんだよ。哀れだろ?」
『ッ…なにそれ……』
「ま、別に珍しい話でもねーよ。金持ちのジジイはそんなんばっかだぜ?かく言う俺らもそれに肖って儲けてんだけどさ。」
『…最低……』
アズサを強引に連れ去ろうとしているのは、誘拐、監禁、強姦、略奪、強盗、薬物に人身売買…ありとあらゆる犯罪を繰り返す二人組の男だった。
アズサは、自身が今まさに、商品として誘拐されるところだと知ると血の気が引いた。