第1章 遊園地
満面の笑みで言われカァ~と顔が熱くなる。
恥ずかし過ぎて固まるユメだったが、無論断れるはずもなく……。
「トランクス……」
「ん?」
「絶対見られてるよ」
ユメはトランクスの膝の上にちょこんと乗り、背中から抱き締められていた。
この個室は殆どがガラス張りになっているため、確実に他の客から丸見えだ。
「いいよ。見られたって」
そう言われては返す言葉がない。
ユメは観念してなるべく外を見ないように俯いた。
この状況は恥ずかしくてたまらないけれど、背中に感じるトランクスの心音がとても心地よかった。
肩にトランクスの顎が乗っていて、ときどき頬に触れる紫の髪の毛がくすぐったい。
しばらく静かな時が流れた。
耳元でトランクスの規則正しい呼吸が聞こえる。
それさえも愛しく感じてしまうというのは、いい加減末期だろうか?
体温に触れているせいか、なんとなくウトウトしかけた頃トランクスが口を開いた。
「ユメ、見て」
言われてゆっくり顔を上げると、窓の向こうには綺麗な夕焼けが広がっていた。
「うわぁ……きれい!」
「良いタイミングだったね」
「うん!」
ずっと広がるブルーとピンクのグラデーション。
その間の色はトランクスの髪の色に似ていた。
「トランクスの色だ」
「え?」
「紫色。私のずっと好きな色」
笑顔で言うとトランクスの顔までが夕焼け色に染まってしまった。
「さて、残るはパレードだね」
「うん! もう一度見れるなんて思わなかった!」
そう、クライマックスは一番楽しみにしていたナイトパレードだ。
「早く場所取りしなきゃ!」
と走りかけたユメをトランクスが引き止める。
「その事で、ひとつ提案があるんだけど」
「え?」
「空からの観賞なんていかがでしょうか?」
軽くウインクしながら、すでに暗くなった空を指差すトランクス。
すぐに意味を理解したユメは顔を輝かせた。
「いいと思います!!」