第1章 遊園地
「や、オレが離れたのも悪いんだけど……」
と、上目遣いでユメを見つめるトランクス。
「そういえば、前にも告白されたって言ってたよね」
「え? あ、うん……」
そういえばそんな事もあったなと思い出しながら頷くと、トランクスはまた俯いてしまった。
「トランクス?」
「……心配だな」
ぼそっと呟くのが聞こえた。
「ユメ、自分が可愛いって自覚ある?」
顔を上げたトランクスに突然そんなことを言われ、ユメはまた真っ赤になる。
「そんなのあるわけないよ! モテたことなんて全然ないし!」
「でも告白されたんでしょ?」
「そ、それが初めてだよ!」
顔を赤くしてムキになっているユメを見てトランクスはふっと表情を和らげた。
「なら、これからは自覚するように」
まるで子供にするようにユメの頭を撫でながら言う。
「心配なんだよ。ずっとそばにいられるわけじゃないから」
「……はい」
その憂いを含んだ笑顔にユメは小さく返事をしたのだった。
そして、次に二人が乗ったアトラクションはカップルの王道“観覧車”。
乗りたいと言ったのは勿論ユメの方だ。
実は以前来たときも乗りたかったのだが流石に恥しくて言えなかったのだ。
ゆっくりゆっくり上昇していく室内で向かい合わせに座った二人。
空を見るとすでに太陽が低い位置にあった。もうそろそろ夕焼けが始まる頃だ。
(早起きしたのになぁ……)
楽しい時間は、本当にあっという間に過ぎてしまう。
(……っと。危うく暗くなるとこだった!)
折角のこの楽しい時間を、一瞬でも沈んだ気分で過ごしたくはなかった。
「あ、あれ! さっきのお化け屋敷!」
建物を指さしながら笑顔で向かいのトランクスを見ると、彼はただユメを見て微笑んでいた。
なんとなく照れながら、ふと気付く。
「そ、そういえば、トランクスって空飛べるんだよね。観覧者なんてつまらなかった?」
「そんなことないよ。自分で飛んでいるのとはまた違うから。それに……」
「え?」
トランクスがぽんぽんと自分の膝を叩いた。
(え……?)
一瞬思考が停止する。
「おいで」