第1章 遊園地
案の定、もうどこも長蛇の列ができていた。
「どうしよっか。並ぶ?」
「ん~、逆に今はお土産屋さんが空いてるかも」
「確かに。じゃ、そうしよっか」
ブルマへのお土産と、二人はここに来る途中の車内である物を買おうと決めていた。
二人が向かったそのお店は、あのペアネックレスを買ったお店。
他の店と比べると少し小ぶりなそのお店に入ると、見覚えのある店主が「いらっしゃい」と声を掛けてきた。
「あれ? もしかして前にも来てくれたかい?」
急に笑顔で話しかけられユメは驚く。
「はい。前にこれを」
トランクスが首元から例のネックレスを取り出す。
「やっぱりそうだ! 覚えているよ。初々しい二人だと思ったんだ」
嬉しそうに主人は笑った。
「今回は何をお探しで?」
「ペアリングを……」
恥しそうにショーウィンドの中を見回しながら言うユメ。
そう。今度は恋人たちの必需品、ペアリングを買おうということになったのだ。
すると主人はいくつかのリングを出して見せてくれた。
「ユメはどれがいい?」
「えっと……。あ、これシンプルで好き」
装飾のほとんど無い細身のシルバーリング。内側に小さな青い石が入っていた。
きっとこれならトランクスがつけていてもおかしくないだろう。
「中についているブルーの石はね、幸せの象徴なんだ」
「これを、お願いします」
「ありがとう。そのまま付けていくかい?」
二人は顔を見合わせ同時に「はい」と頷いたのだった。
店を出てもユメは左の薬指にはめたリングを見ながら顔が緩むのを止められなかった。
「えへへ~、嬉しいね」
「また母さんにからかわれる事必至だけどね」
二人は笑い合う。
ユメがまた指輪に目を落とした時、ふいにトランクスが口を開いた。
「……いつか、本物も買ってあげるよ」
「え?」
視線を上げるとトランクスはすでに前を向いていた。
でもその耳は真っ赤に染まっていて……。
「うん!!」
ユメは幸せ過ぎて泣きそうになりながら頷いた。