第1章 遊園地
「さて、まずはどれから行く?」
「えっと……」
入り口で渡されたパンフレットを見ながらゆっくりと歩いていく二人。
「あ! 新しいのが出来てる!」
それはどうやらお化け屋敷系のアトラクションらしかった。
「ユメは怖いの平気?」
「んー、平気ってわけじゃないけど、見たがり」
「じゃ早速、並ばないうちに行ってみようか」
「うん!」
そして二人はその場所に向かって走り出した。
「きゃあ!!」
こうして悲鳴を上げたのはこれで何度目だろう。
古い洋館をモデルにした迷路のような建物の中を、歩いてゴールを目指すこのアトラクション。
これが想像以上に怖かった。
突然ゾンビが現れて追いかけてきたり、いきなり部屋がポルターガイストのように揺れ出したりと、とにかくユメは何度も悲鳴を上げる羽目になった。
しかしその度にトランクスは可笑しそうに笑っていて。
「トランクスは怖くないの?」
薄暗い部屋の中でほとんど涙目になりながら訊くユメ。
「ん? ビックリはしてるよ」
「だって笑ってるよ?」
「いや、だってユメが可愛いから」
爽やかにそんなことを言われて、ユメは一気に顔を赤くした。
「ぜ、全然可愛くなんてないから!」
表情を隠すように慌てて視線を外すユメ。
そんなユメにトランクスはもう一度「可愛い」と呟いて、つないでいる手をぐいと引き寄せた。
「ト、トランクス!? 他の人たちが来ちゃうよ!」
今はこの部屋の中に二人きり。だがいつ他の客が入ってきてもおかしくはない。
そんな中で抱き締められてユメはとにかく焦る。
「トランクス!」
「ちょっとだけ……」
そして顔を上げたユメにキスを落とした。
突然の口づけにビクリと身体を緊張させるユメ。
最初ついばむようだったそれはじょじょに深いものになっていき、ユメはぎこちないながらも、ゆっくりとトランクスに身を預けていった。