第1章 遊園地
顔を見なくても、彼女が幸せそうに微笑むのがわかる。
『幸せ』
それは自然に湧き上がって来るものなのだと、彼女がいたから知ることが出来た。
別々の世界に生まれた自分たちが、こうして出逢えた事。
それは決して不幸なことではなくて、幸せな奇跡なのだということを。
ユメが此処にいるから、迷わずに確信できる。
「好きです、ユメ」
「うん。私も、大好き」
二人は、どちらからともなく口づけを交わす。
これまで幾度と無く交わしてきたキスは、きっとこれからも続いていくだろう。
夜風に乗って遠くから聞こえてくるパレードの音楽が、二人を祝福するように、いつまでも高く響いていた……。
END.