第9章 二度目
互いに目を見合ったまま口付けた。
霧の立つ明けの湖面のような瞳に、カクの真黒い瞳が映る。
目を開いたまま互いの舌を絡め合うと、その先端の固さや中程のざらつき、口蓋の滑らかさと唾液の甘さに手足の指先が痺れるような快感が湧いた。
冷静だった頭が見る間に逆上せる。
腰を持ち上げて密着させ、丸い尻を鷲掴みする。ラビュルトの瞼が震え、煙った目が閉じかかった。
「閉じるな。寂しいなる」
瞼に口をのせて呟くと、睫が持ち上がって唇をくすぐった。耳朶を食んで掌に収まる胸に手を這わせる。立ち上がった乳首が熱い掌に湿った感触で擦れて、ラビュルトが息を吐いた。
「・・・ふぅ・・・んぅ・・・」
大きく首筋に吸い付いて歯を立てる。ラビュルトが膝を立てて我から腰を押し付けて来た。
押し返して答えながら付け根からしだくように胸を揉み上げると、鼻にかかった吐息が漏れる。
指の股に乳首を挟んで刺激しながら、なおも柔やわと揉み続けるとラビュルトの瞼が再び閉じかかってひくひくと震えた。
「は・・・あぁ・・・」
愛おしい。
もっと、もっとじゃ。
カクは湿り始めたラビュルトの胸に舌を這わせた。きめの細かい肌が舌に心地よく、唾液腺が刺激された。
食いもんでのうても涎が出るんじゃな・・・
いや、食いもんなのか。矢張り食ってしまいたいものな。
乳首を口に含み舌先で押し潰すように円を描く。
「は、あッ・・・んん・・・ぅ」
ラビュルトがカクの頭を掻き抱いた。
腰がまた浮き上がり、長い足がもどかしげに絡んで来た。
擦れ合う腰の感触に己が膨れ上がっていくのがわかる。
不意に腰と腰の隙間に、スルリとラビュルトの手が滑り込んだ。
慮外の動きに戸惑う暇もなく、初めての刺激にカクの肩が跳ねた。
「な、何の真似じゃ・・・ッ」
思わず腰を浮かしたカクを、ラビュルトのもう片手が捕らえる。
潤んだ瞳に笑みが浮かんでいる。
「こういうヤり方もあるのよ」
掠れ声で囁き、驚いて体を起こしたカクの腰にラビュルトは顔を寄せた。
・・・ぅわ・・・
ぬるりと呑み込まれ、ざらりと舐め上げられて、背骨に痺れが走る。