第28章 ドフィとソマリー
モニターを横目にドフラミンゴは鼻を鳴らした。
「ヤにモテてやがんな。鼻がいいのか、アレは」
「カッコいんだよ、カクは。おじいちゃんみたいに話すし、帽子がにあうし、やさしいから、大好き」
「ふん?プルキトン•セセルパン•キシッフル•スュルヴォテットゥ?(お前らの頭の上で口笛を吹く、この蛇は誰の味方だ?)よく知りもしねえで気を許すのは馬鹿のする事だ。アイツは蛇かも知れねえぞ」
「カクはお行儀にうるさいから口笛吹かないし、鼻だよ。蛇じゃないもん。アタシを助けてくれたいい人なんだよ!ジュ•ヴー•エ•ジェグジジュ•デクスキーズ•エクスキューズ!」
カッコよく謝って!
ドフラミンゴはソマオールを抱き直して、にやりと口角を上げた。
「残念だな。カッコよかろうが悪かろうが、謝るなんてこたァ俺にゃ有り得ねえんだ。諦めろ」
「…ただの早口言葉だよ?」
「あぁ、そうだな。早口言葉に意味なんてねえしな」
ピンクの羽コートが小刻みに震える。クツクツとわらいながらドフラミンゴはソマオールを膝から下ろした。
「只の遊びだ。遊ぶのは好きか、ソマオール」
ソマオールがにかっと全開で笑って大きく頷く。
「大好き!」
「俺も嫌いじゃねえ」
にやにやしながら顎を撫でたドフラミンゴに、ソマオールは期待に満ちた目を向けた。
「大人も遊ぶ?」
「オメェの姉ちゃんは遊ばねえか?」
「遊ぶよ!ソマリーと遊ぶ!山でも遊ぶし、あと飛んで遊ぶの!」
「…飛ぶ?」
「ラビュはハリアーだから飛べるんだよ」
ドフラミンゴはソマオールをマジマジと見詰め、口を開きかけた。
そこで部屋にノックの音が響き渡る。咄嗟にソマオールがドフラミンゴの陰に隠れようとした。
「おいおい、何処へ行くんだよ」
ドフラミンゴはソマオールの腕を捕まえ、ひょいと膝の上に抱き上げた。
「コソコソすんな。オメェは俺のゲストなんだからよ?今ンとこはな」
「ごめん、ドフィ。ちょっといい?」
幼い声がして、ドアの隙間からソマオールより幾つか上の年頃の少女が顔を出す。
ソマオールがドフラミンゴの膝から飛び降りようとしてまた捕まった。
「だから何やってんだ、オメェは」
「ねえ、あのクソガキが見えなくな…あああッ」
少女がソマオールを指差して大声を上げた。
「アンタ何でここにいんのよッ!?」