第27章 アタシの男
アブロサムの上ずった問いに、ラビュルトは掛け値ない笑顔を浮かべた。
「ええ。一人は大事な昔馴染み…」
白のスーツの傍ら、派手ではないが立ち姿のしゃんとした真っ直ぐな佇まいの男に目が釘付けになる。
キャップを戴いた男の首元に黒く纏わるタイ。ハリアーが山風の胸元に収まっている。
不安でふわふわしていた胸の内に、温かいものがずしんと座り込む。
何だ。アンタも魔法を使うんじゃない。
嬉しくて、鼻の付け根にぎゅっとシワが寄った。危うく泣くところ。アタシ、こんなにヤワだった?
カク。ラビュルトの想いを纏ったカク。
…うん。すっごく似合って男前だわ、アンタ。惚れ直しちゃう。
ぐっと顔を上げて、ラビュルトは誇らしげに大きな口を綻ばせた。
「もうひとりの男前は、アタシの男よ」