第22章 予定変更
「はあ?何言ってんのよ、謀ったわねン、エセ忘れ上手!!」
「ワシャお前さんからは何も聞いとらん。ワシに話をしてくれたのはカヤンじゃ」
しゃあしゃあと言うカクに、ボン·クレーは文字通り開いた口が塞がらない。
「くわぁああ!に、憎ったらしい屁理屈言って!アンタそれじゃヤカンと変わんないわよぅ!?恥ずかしかないのン!?」
「恥ずかしいこたないわい。本当の事しか言うとらんからのう。カヤンと変わらん?上等じゃ。お前さんと一緒くたにされるよか余程真っ当じゃわ」
「これからそいつのパーティに行くんだ。あなたも一緒に来るといいよ」
カヤンがペロッと言った。ふんぬッと凄い形相を向けて来たボン·クレーを無視して、砂漠の神の加護にある少年は意外に人懐っこい笑みをカクに向けた。
「あなたとあなたの大切な人たちにもジンの加護を祈ろう。…ついでに風呂に入らずにすむようにボン·クレーを説得してくれないかな。何でパーティに行くのに風呂になんか入らなきゃないんだ。水の無駄遣いだよ」
「それで揉めとったんか。仕様もないのう…」
カクは衿元のアスコットタイをちょいと直して顔をしかめる。
「風呂なぞ少々入らんでも何と言う事なかろうが。見苦しくなくと気遣うならお前さんは風呂に入るより顔をすげ替えにゃならんぞ、ボン·クレー」
「あぁ!?誰に何を言いやがっちゃってンの!?アチキなんかハンコック裸足の魔性の美オカマで通ってんのよ!?」
「何つう図々しい事を抜かしおる。どこでそんな馬鹿な話が通っとるんじゃ。ワシャSFにゃ興味ないわい」
「誰がパラレルワールド!?」
「まんまお前さんじゃ。どっかで時空の穴にでも落ちたせいでそんな珍妙になったんじゃろ?国へ帰れ」
「ダッハ、ちょッ、ならアンタはゼペットじいさんとこに帰ったげなさいよ!?泣いてるわよ、寂しん坊のじいさんが!?」
「ワシの鼻は嘘をついても伸びやせん。そもそもワシャ嘘をつかん」
「ついさっき!ついさっきついたばっかしよね!?ついた記憶も生々しいわよねン!?何言っちゃってんの、このバカッ鼻!」
「嘘なぞついとらん。見い。鼻なんぞ伸びとらんじゃろう?」
「どっちな·の·よッ!?アンタは!ピノキオなの!?カクなのン!?」
「カクに決まっとろうが。一人で何を騒いどるんじゃ、お前さんは。全くやかましいのう…」