第72章 デリバリーサンタ トド松
甘いお菓子のような香りと満天の星空が、わたし達を幻想的な世界へと誘う。
「いい香り…。なんて名前?」
「ベリーズシャンパンって言って、クリスマス限定の香りなんだ」
「へぇーっ!さすがトッティ」
うーん、やっぱりトッティの女子力は計り知れない。
わたしも見習わないと。
「星もすごく綺麗…。部屋にいるの忘れちゃいそう」
「このプラネタリウムね、星が60,000個もあるんだって。これだけぎっしり星が見えたら星座なんて分からないけどね。…気に入ってくれた?」
顔は見えないけれど、優しい声でトド松くんが笑っているのが分かる。
「うん…夢みたい」
そう言うと、おデコをコツンとぶつけられた。
「いつか、本物の星でこれくらい夜空が綺麗なトコに連れて行ってあげるから!」
「うん、楽しみにしてるっ」
額がくっついたままクスクス笑いあう。
「ボク、この空間と主ちゃんに酔っちゃいそう」
「わたしも…」
このまま…キスされるかな…なんて心の準備をしていたら、
「っ!!」
不意に身体がフワリと浮いた。