第70章 デリバリーサンタ 一松
一松視点
(なんでいつも…おれってこうなんだろ)
主の背中を見つめながら、自分の不甲斐なさに落ち込み、自己嫌悪に陥る。
驚くかな、喜ぶかなって、十四松にトナカイ役まで頼んでここまで来たのに…。
ちなみに、アイツはサンタ捕まえるからって家に帰って行った。
大体、主はなんでおれと付き合ってんだ?
おれと付き合ってもいいことなんて一つもなし。
クズでニートで金もなければ夢もない。
おれなんかより相応しい奴が、主には絶対にいる。
こんなプレゼントだって…どうせきっと喜ばない。
…一日探し回って、ようやく見つけたプレゼントだけど。
チラっと袋の中を覗くと、愛らしい瞳がおれを見ている。
(かわいい…)
ネタバレすると、クリスマスプレゼントは黒猫のぬいぐるみ。大きさは子猫サイズ。
いやちょっと待て。
かわいすぎる。
コイツを見てかわいいって思わないヤツなんていんのか?
コイツが家に来て喜ばないとかありえないだろ!?
このブルーアイズで見つめられたら、たちまちノックアウトだよな?
(枕元に…さりげなく置いてみるか)
主が眠ったのか確認するため、肩をちょんとつついた。
——反応なし。
袋から黒ニャンコを出す。
つぶらな瞳がおれを骨抜きにする。
あぁヤバいな。
毎晩見つめ合いながら眠りたい。
(じゃあな、これからは主の家でおれのこと待ってて)
そっと背後から、主の布団に黒ニャンコを埋めた。
ん?
あれ?
…いや待て、こんなつもりじゃ…。
ホントは、布団の中に入れる予定だったのに。
朝主が目覚めたら、腕の中で黒ニャンコが眠っていたって展開にしたかったのに、どうしてこうなった!?
予想外のアクシデントで、黒ニャンコが主の胸元の奥深く…谷間に潜り込んでしまった。
背後からぬいぐるみを布団に潜り込ませたら、主の部屋着がだるんってなっててぶるんってなってるとこに勝手に手が滑って…ってあぁぁあー!!やわらけーー!!
男のサガで自動的に胸を揉んでしまい、パッと手を引いた。