第69章 ※デリバリーサンタ チョロ松
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ダイニングテーブルにお菓子とおつまみ、ビール、ジュースが並べられ、みんなでわいわい歓談中。
楽しそうに語らう兄弟と主ちゃんに、僕の心はおいてきぼり。
(はぁ…虚しい)
ソファーに腰掛け、プレゼントを袋から出し一人で眺める。
プレゼントは、エ糞シスト・ディレクターズカット版。
主ちゃんは、一昔前のホラー、SF、スプラッター映画が好きだから、絶対喜ぶと思ってこれにしたんだ。
悪魔と戦う神父のお話。
ね?好きそうでしょ?
途中、女の子に取り憑いた悪魔が、ベッドの上でギッコンバッタン暴れ回るシーンがあるんだ。
二人で部屋を真っ暗にして映画を観てさ、そのシーンになった時、さりげなく肩を抱き寄せ「僕たちもギッコンバッタンしよっか?」ってスムーズにベッドインするプランだったんだ。
三日三晩寝ずに考えた、惑う瞳に甘く溺れてギッコンバッタンプランだったんだよ。
それなのに、どうしてこんな状況に…。
初めてのクリスマスイブ。
二人っきりで過ごしたかったなぁ。
「チョロ松くん」
賑やかな輪から主ちゃんが抜け出してきた。
心配そうに僕を見つめる瞳。
「…主ちゃん」
主ちゃんは僕の隣にピトッと座り、ジュースを手渡してくれた。
「…パーティ、嫌だった?」
「そ、そんなことないよ!」
グビリとジュースを飲む。
甘ったるい炭酸水に少しだけむせると、背中をトントンしてくれた。