第69章 ※デリバリーサンタ チョロ松
十四松のヘソ踊りに笑い転げる酔っ払い共。
それを見てクスクス笑う主ちゃん。
「今日は来てくれてありがとう。みんなに会えて嬉しかった。迫り来るゾンビに立ち向かうチョロ松くん、とってもカッコよかったよ」
キラッと白い歯を見せて笑う彼女はやはり聖女だ。
僕の心に降り注ぐ愛の雨。
心が洗われてゆく。
「そそ、そうかな!あ…りがとう」
照れくさくなり俯くと、主ちゃんは「あっ」と声を漏らした。
DVDが丸見えだった。
「エ糞シストだ!!しかもディレクターズカット版!!これ…もしかして」
「うん…大したものじゃないけど、はいっ、メリークリスマス」
可愛い手のひらにDVDをポンと乗せた。
「嬉しい…!ずっと大事にするね!」
よかった。喜んでくれたみたい。
さすが僕。
僕の中の主データバンクに基づき、計算しつくされたプレゼント選びは、見事に成功したようだ。
「早速今から観てもいーい?」
「勿論イイよ」
主ちゃんが立ち上がった瞬間、
——ちゅっ
柔らかな衝撃が僕の唇を襲った。
「わわわわぁっ!?」
「そ、そんなに驚かなくても……メリークリスマス」
聖なる僕の彼女は、素敵なプレゼントを唇に残し、テレビへと向かった。
初めて過ごす、彼女とのクリスマス。
甘い時間は明日までお預けだけど、
(幸せな予感しかしないっ!!)
期待に胸を弾ませ、僕は映画鑑賞を楽しんだ。
上映中、始めから終わりまで、トド松の悲鳴が止むことは無かった。