第69章 ※デリバリーサンタ チョロ松
主ちゃんのエンジェルスマイルに、醜悪なゾンビ松達は攻撃の手を止めた。
「チョロ松くん!みんな!素敵なショーをどうもありがとう!!」
「シ…ショー?」
「わー間近で見ると益々本物っぽーい!本当にゾンビになっちゃったみたーい!!」
主ちゃんが、僕の頭を掴んでいる一松ゾンビの頬をツンツンした。
その時、奇跡が起きた。
「わ、ごめん!特殊メイク剥がれちゃった!」
「あ…あう……」
ツンツンした頬だけ腐敗が浄化され、血の通った人間の頬に戻っている。
うれし涙を流す一松ゾンビ。
すごいよ主ちゃん。
キミって性女…違った、聖女だったのか。
主ちゃんはしゃがんだまま、照れくさそうに目を細めふわりと微笑んだ。
「わたしがゾンビとかスリラー映画好きだから、こんなに素敵なショーを観せてくれたんでしょ?映画の世界に入り込んだみたいで、すごくドキドキして楽しかった。夢みたいだったよ」
…そういえば、キミはエイリアンとか宇宙人とか、グロいの大好きっ子だったね。
だからこんな状況を、そんな風に前向きな勘違いしてくれたんだね?
演技でも無ければ、コイツら既に人間でも無いけれど。
打ち合わせなしのぶっつけ本番だったけれど。
よかった。
なんとかごまかせた。
主の天然に、チョロ松、心から感謝!!