第69章 ※デリバリーサンタ チョロ松
トナカイゾンビは、ライトセイバーで素振りを始めた。
「しね…しね…しね…しね…」
すごい掛け声だ。
「返せっ!十四松!!」
チョロ松くんが、ライトセイバーを取り返そうと手を伸ばしたその時、
「シコーーチョロシコーー…」
「え?わぁーーっ!?」
背中を向けた隙を見計らい、四体のゾンビが後ろからおぶさるように覆いかぶさった。
うつ伏せに倒れこむチョロ松くん。
目の前には不気味に素振りを続けるトナカイゾンビ。
圧倒的不利。
絶対絶命だ。
「チョロ松くーーん!がんばってーー!!」
ヒーローショーを観ているような気分になり、思わず声援を送った。
チョロ松くんの目がハートマークになる。
「主ちゃあーーん!!げふっ!」
トナカイゾンビのフルスイングが左頬に直撃した。
いくらプラスチックとは言え、痛そうだ。
「りぃぃあじゅうぅぅうー…しねぇぇえー!!」
「痛っ!筋痛いっ!!関節技とか全然ゾンビらしくないんだけど!?」
チョロ松くんは、全身を襲う関節技に顔を歪ませ、額に脂汗を浮かべている。
演技だとしても、辛そうで見るに堪えない。
(そろそろ終劇にしちゃってもいいかな…)
わたしはパチパチと拍手をしながら、みんなの元へ駆け寄った。