第67章 ※十四松とファンファーレを 五男END
音の方へ視線を向ければ、橋の上に黒いバン。
「ウッヒョヒョー!真昼間から働きもせず、ピーチクパーチクうるさい六つ子ザンスねー!」
イヤミが嫌味を言っている。
……飛んで火に入る何とやら。
あざーっす。
「おい見ろ十四松!!」
おそ松兄さんがイヤミを指差した。
「……グスッ…なーに…?」
「カモがネギ!アレで向かえば間に合うって!!」
おれはバンに忍び寄ると、窓からイヤミを引きずり下ろした。
「痛いっ!痛いザンスチョロ松!!いきなり何するザンス!?」
「いやそれ一松でチョロ松は僕。でも時間ないから誰でもいいや」
運転席におそ松兄さんが座り、助手席は十四松。
他の四人は、後部座席に積まれたダンボールを片っ端からぶん投げ車に乗り込んだ。
「チ、チミ達!?意味分からない上に酷すぎるザンス!!ミーはこれから工場に部品を届けに「イヤミー、ちょっと車貸してー!」
「シェーーーッ!!??」
シェーを尻目に、おそ松兄さんはアクセルを目一杯踏み込んで車を走らせる。
「トッティ!カーナビよろしく!」
「オッケー!高速使っても平気?」
「ETCカード付いてるから問題なし!」
イヤミのだけどね、というツッコミは誰もしなかった。
ツッコミ入れてる余裕なんてなかった。
「みんなぁ…ありがとーー!!」
「十四松、泣いてないでネクタイ締め直せ。男ならば、キチンと身だしなみを整えて見送らないとな」
クソ松がポケットから鏡と櫛を取り出し十四松に渡す。
(間に合いますように…)
移り変わる景色を眺めながら、そっと祈った。