第67章 ※十四松とファンファーレを 五男END
五人で駅に向かい歩いていると、河川敷にポツンと座るあいつがいた。
やっぱり十四松は十四松…。
気がつくと柄にもなく叫んでいた。
「十四松っ!!」
今のおれ、100dBは出てたかもしんない。
おれの声で、十四松に気づいた四人が駆け出した。
おれも走ったけど、便所サンダルだから上手く走れなくてビリっけつ。
十四松はおれらを見てニッコリと笑った。
ワザと明るく振舞ってんのがバレバレな笑顔。
心の中は、土砂降りなくせに。
「あっははー、間違えちゃった!」
「十四松兄さん…間違えたって日にち?それとも時間?」
「成田じゃなくて羽田行っちゃって、急いで戻ったら電車が人身事故で止まってたー!!だから、ここからいってらっしゃいしようと思って戻ってきたー!!」
「なんだよ…それ」
目に涙を浮かべてるトッティの隣にいたおそ松兄さんが、十四松の胸ぐらを勢いよく掴んだ。
「おいテメー!十四松!なに呑気に座ってんだよ!!お前がそんなショボくれてると、俺たちが競馬で勝てねーだろーが!!」
「ゴメン…」
「二年も会えなくなんだぞ!?オナニーで過ごすしかねーんだぞ!?諦めてどーすんだよ!!行けよ!!走ってでも向かえ!!」
言葉はひどいし支離滅裂だけど、おそ松兄さんの気持ちが痛いほど伝わってきて、みんな黙り込む。
笑顔だった十四松の顔が涙でぐしゃぐしゃになってゆく。
「うわあぁぁあん!!主ちゃあぁぁあん!!」
ついに声を張り上げワンワン泣きだした。
どうする?
タクシー拾って向かわせるか?
でもそんな金どこに…。
泣きじゃくる十四松を見つめ途方に暮れていると、
——プップーーー!!
突然、耳をつんざく車のクラクションが聴こえた。