第67章 ※十四松とファンファーレを 五男END
「あの…どうしたの?」
「あれー?言うこと忘れちゃったー!!」
「あはははっ!」
照れくさそうに頭をかいている。
相変わらず予測不可能で愉快な人だ。
そんな彼にワガママなお願いをした。
「わたしも頑張るから、ぜーーったいに待っててくれる?」
「ばっちこーーい!!」
十四松くんは手を離し両手を広げた。
きらめく瞳に見つめられ、胸の奥が熱くなっていく。
(待っててくれるってこと…だよね?)
「十四松くん!だーいすきっ!!」
広げられた手にダイブすると、力強く抱きあげられ、くるくると身体が宙を舞う。
まるで子供のようにはしゃぐ二人。
恥ずかしさと嬉しさもくるくると混ざり合う。
「ぼくも好きだよー!すっごく好きー!!」
「キャハハハッ!目が回っちゃう!!」
「遠心力スパイラル!!」
彼の肩越しに星月夜が見える。
やわらかくてどこまでも優しい夜。
儚い夢のように愛しい時間。
・・・
この日、十四松くんは久しぶりにうちに泊まった。
わたし達はベッドの上で、互いを焼き付けるように何度も抱きしめ合った。
溶け合って一つになるんじゃないかってくらい肌を重ねた。
朝が来るのが怖かった。
怖くて怖くて泣きじゃくるわたしを、十四松くんはいつまでも抱きしめてくれて…。
彼の声、匂い、温もりが心地良くて、いつの間にか眠ってしまっていた。
昼過ぎに目覚めると、「空こうまで見送りに行くね!」という書置きを残し、十四松くんはいなくなっていた。
・・・