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おそ松さん〜ニート達の裏模様〜

第67章 ※十四松とファンファーレを 五男END


主人公視点



楽しい時間は、残酷なほどすぐに過ぎ去る。

帰る時間になり、みんなに沢山の感謝を伝えて松野家を出た。


風の無い静かな夜。

寝静まる街を見下ろす下弦の月。

隣には十四松くん。

右手にプレゼントの楽器ケースを持ち、左手はわたしの手を包んでくれている。


「今日はありがとう!すごく楽しかった」

「あははっ!よかったねー!」


十四松くんは楽しそうにニコニコしている。

壮行会の途中、わたしが寂しくなって泣いてしまっても、笑顔で元気づけてくれた。

家を出る時、みんなの温かさにまた泣きそうになったら優しく頭を撫でてくれた。

ずうっと笑顔でいてくれた。

留学したら、十四松くんの笑顔に会えない。

一人で頑張らないと。

一人で笑わないと。

二年間頑張り抜いて、成長した姿を見せるんだ。

胸を張って帰国して、ただいまを笑顔で言うんだ。


「主ちゃん」


河川敷に差し掛かった時だった。

ピタリと止まる足音に右手が引っぱられる。


「十四松くん?」

「ぼくね、この河川敷が好きだよ。ずっとずっと好きだよ」


急にどうしたんだろう?

でも…突拍子も無い様に思えて、十四松くんの言葉にはいつも意味がある。


「わたしもずっと好きだよ。十四松くんに出会えた場所だもん」

「やったぁーー!!おそろいー!!」


パァッと眩しい笑顔になり、楽器を持ちながらガッツポーズを取っている。

いつも心をあっためてくれる大好きな笑顔に、胸が締め付けられる。


「二年経ったら、ここに戻って来てラッパ吹いてくれるー?」

「うん!約束する!」

「じゃあぼくね、仕事探す!がんばって就職するよ!!主ちゃんが帰って来た時に…………」

「帰って来た時に?」

「……」


ガッツポーズのまま固まる十四松くん。


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