第67章 ※十四松とファンファーレを 五男END
居間に入ると、松野家勢ぞろいでお祝いしてくれた。
ちゃぶ台には、お寿司とビールに沢山のお菓子。
おじさんとおばさんはキッチンで二人前のお寿司を食べながら、わたしと六人を笑顔で見守ってくれている。
「ってゆーか十四松!いきなり打ち合わせと違うことすんな!トド松なんて一瞬心臓止まって口から魂出かけたんだぞ!?」
グラスにビールを注ぎながら、チョロ松くんは十四松くんを叱っている。
「ごめんねトッティー!」
青白い顔のトド松くんは少し元気がない。
「平気だよ十四松兄さん…。でもこれからは、巨大化したり分裂するのは、ボクがいない時だけにしてね?」
「あいっ!!」
「主、グラスが空じゃないか。どれ、オレが注いでやろう」
カラ松くんがわたしのグラスにビールを注いでくれた。
「ありがとう!」
「コングラチュレーション!ついに世界に羽ばたく時が来たんだな!よーし十四まぁーつ!乾杯の音頭を頼んだ!」
「みんなー!準備いーい?」
部屋が静まり返る。
「今日は、主ちゃんのためにお集まりいただき、誠にありがとうございマッスル!!」
「集まったってゆーか、僕らが呼んだんだけどね」
「チョロ松兄さん、ツッコんだらキリがないから」
チョロ松くんとトド松くんの内緒話をおそ松くんの声がかき消す。
「めんどーな挨拶抜きにして、さっさと乾杯しよーぜ!」
「あいっ!!じゃあ、主ちゃんのドイツ遠征の成功を願って、おめで盗塁王ーーー!!!!」
『おめで盗塁王ーーー!!!!』
カランッとグラスがぶつかり合った。
彼の中で、なぜわたしがドイツ遠征することになったのかはよく分からないけれど、松野家の温かいおもてなしに胸がじーんと熱くなった。