第67章 ※十四松とファンファーレを 五男END
十四松…来てしまった僕が悪かったけど、頼むからはしゃがないでくれ…。
「天然酵母パーーーン!!」
「あの、早くお会計してください」
「かしこまりましたー!!」
「言えばやめてくれるんですね」
十四松は慣れない手つきでレジに百四十円と打ち込んだ。
「あんぱん一つですよねー?」
「そうですけど。ってゆーか見て分かりますよね?」
「見えると思ってて見えないことの方が多いんで」
「哲学っぽいこと今いいんで」
「あいっ!!」
「言えばやめてくれる!?」
十四松はあんぱんをビニールに包みテープで止めた。
「ほんとーにあんぱん一つですか?」
「そうですよ!!見て触って確かめただろ!?」
クソッ、イライラすんなぁもうっ!
「ぼくのオススメは揚げたてカレーパンです!!」
「あぁ…そういえばさっき並べてたね。せっかくだから一つ貰おうかな?」
「あんぱん一つとは残念ですねー」
「カレーパンの下りまさかのスルー!?嫌がらせ!?嫌がらせなの!?」
痺れを切らした店長が、ついにレジに来てしまった。
「お客様、先ほどから騒がしいのですが冷やかしですか?営業妨害で訴えますよ?」
「す、すみませんっ!!」
僕は支払いを済ませて逃げるようにレジを後にした。
(なんであんぱん一つ買うだけでこんなクソ展開!?しかも俺悪者ー!!??)
「お客様ー!揚げたてカレーパンはー??」
「松野!!ちょっと裏に来い!!」
・・・
この日、十四松はパン屋をクビになった。