第66章 愛のカラ騒ぎ 次男END
家に辿り着いた頃には日が沈んでいた。
帰ってきたオレを見るや否や、またかとでも言いたげな呆れ顔のハニー。
「なんで…同期の買い物に付き合って全身ボロボロなの?」
よく見てくれハニー。
ハニーがくれたコートはこの通りピンピンしているぜ?
しかし、主は気づかずコートをハンガーにかけている。
まぁ…そんなのどうだっていいか。
「フッ、都会には常に危険が付き物なのさ」
「はいはい」
ソファーで横になりながら、怪我の手当てを受けていると、子猫ちゃんが近づいてきた。
またいつものように引っ掻かれたら、流石に泣くと思いきや、
—スリスリ…—
「おお…」
「すごーい!ついに懐いたね!」
ゴロゴロ喉を鳴らしオレの肩に頬ずりをしている。
子猫ちゃん!キミは何も言わなくても分かってくれるのかっ!
オレが死線をくぐり抜け帰還したことを!!
「オーマイリル子猫ちゃあん…!」
「ねぇ、泣くのはいいけど動かないで!包帯が緩んじゃう!」
「いっつ…!」
ブラザー達に付けられた傷もエグいが、Gボールによるあざが一番痛んだ。
彼女の思いが込められているのかもしれないな。
思いが込められている——か。
「ハニー、左手を貸せ」
「え?」
オレは、ポケットからそれを取り出し、薬指に……。
「カラ松くん…これ」
主の白い指によく映える、プラチナに小さなブルーサファイアがきらめくリング。
帰り際、店に寄って分割で購入したんだ。
買う予定では無かったが、パイでかさんの一件でハニーの大切さを再確認した。
だから、思いを込め、形にしたくなった。
目に見える物で残したくなったんだ。
オレの「ラブ」を。
お前だけを愛しているという証を。
「ありがとう…なんでカラ松くんが傷だらけなのかはよく分からないけれど、大事にする…ずっとずっと、大事にするから!」
「フーン、瞳から大粒のジュエルが溢れ落ちてるぜ?」
抱き寄せ瞳にキスを落とす。
「そうだ、あと、コレも…」
ソファーの下に隠していたもう一つのギフトを贈る。
「なんだろう?相変わらず凄いデザインだね」
そうだろう?イカすだろう?
お手製のキラキラなカラ松GREATラッピングだからな!