第66章 愛のカラ騒ぎ 次男END
マイハニーは中身を取り出すと、ポカンと口を開けたまま無言になった。
「それを着て己を高めてくれ」
そう!白のタンクトップにオレのフェイスをプリントし、背中に松マークをスパンコールであしらった、カラ松ブランドオンリーワンお前さっ!!
「うん、ありがと。雑巾にするね」
「なぜマイハニーまで雑巾宣言!?」
「どういう意味?」
「な、なんでもないっ!」
慌てふためくオレを見て、クスクスとハニーが笑い出した。
「ふふっ!嘘だよ!雑巾になんてしないっ!」
あぁ、ハニースマイルで傷が癒えていく……気がする。
抱きたい。
ハニーで身体を満たしたい。
「誕生日とか記念日じゃないのに、沢山プレゼントくれて本当にありがとうね」
悲鳴をあげる身体を起こし主の肩を押せば、ソファーがギシときしむ。
「あ、あのっ、傷が痛むから寝てないと」
「気にするな。見た目がグロいだけで大した傷じゃない」
ハニーをソファーに押し倒し、絹のような髪を掬ってサラリと指で遊んだ。
「やっ、待って…」
「記念日とか誕生日じゃ無い?ノンノンノン!何故ならこの世は毎日が誰かのバースデー!そしてお前と過ごす毎日が、オレにとってアニバーサリー!!だろ?」
「意味わからないよ…」
空気を読んだのか、子猫ちゃんがスタスタと部屋からいなくなる。
諦めたように「もうっ」と呟き、オレと視線を交わす愛らしい瞳。
「主、愛してる」
「カラ松くん、わたしも愛してる」
そっと唇に口づけて、主の匂いと体温を確かめるように抱きしめた。
主。
オレの安らげる場所はお前だけなんだ。
オレがお前を幸せにしてやるよ。
明日の見えない世界へ、一緒に旅立とうじゃないか!
お前の隣が相応しいのはオレだけだぜっ!
マイハニー!!
イタくたって残念だって、その愛は海よりも深く空よりも澄んでいる。
それが次男、松野カラ松
——おしまい——