第66章 愛のカラ騒ぎ 次男END
おそ松視点
「はぁーつまんね」
昼間に五人でパチンコに向かえば、出迎えたのは「定休日」と来たもんだ。
「どーする?トト子ちゃんデートしてくんねーかなー?」
「うーん、明日ライブでナーバスになってるかもだけど、行くだけ行ってみる?」
ロクな予定なんて無いくせに、無駄に高そうな手帳を開くライジング。
「っつかチョロ松、お前まだマネージャー気取ってんの?」
「気取ってるんじゃない。ホントにマネージャーなの」
「ほっときなおそ松兄さんっ。アイドルオタクはプライドガッチガチだから」
「慶◯ボーイ詐称してたお前にだけは言われたくない」
トド松は悔しそうに頬を膨らませる。
あートト子ちゃあん。
デートしたのち俺の初めて捧げたぁーい!
「見て見てー!カラ松にーさんだ!!」
「あ?」
先を歩いていた十四松が嬉しそうに振り向いた。
そういえば、あいつ近所に住んでるんだよな。
社会人とニートの生態が違いすぎて会わなかったけど。
今日休みだったから、昨日夜中までうちにいたのか。
(どうせまた、クソだせぇ革ジャンとグラサン、クソタンクトップだろ……って、んん?)
「誰…あれ?」
思わず目を疑う。
「嘘でしょ!?歩くイタイ、イタイの申し子のカラ松兄さんが…なんかオシャレになってる…!」
「『歩くイタイ』ってなに?クソつまんねーこと言うな!えっと、どうする?声かけてみる?」
「ぷっ、ツッコミスキルNo. 1は自分だって言いたいのー?歩くオナニーのくせに」
「うるせっ!!歩く無関心!」
「歩く秋葉原!」
「歩く丸の内OLメンタル!」
「歩く童貞!」
「それ俺ら全員!!」
「だーっ!歩く歩くうるせぇよ!!あっ、アイツ改札入ったぞ!」
終わりの見えないチョロ松とトド松の"歩く合戦"を遮り、カラ松を指差した。
「……黒、だな。ヤツからゲス臭がする」
ボソリと一松が呟く。
「なんかお前、楽しそうだな」
「……そう?」
「どーせする事ねーし、暇つぶしに某週刊誌ごっこでもするかぁー」
面倒くさがるかと思いきや、
『おうっ!』
全員暇人だった。