第66章 愛のカラ騒ぎ 次男END
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「うわーーーんっ!!オレの人生フィニッシュ!!グッバイカラ松ガールズfeaturing主ーっ!!」
仕事帰り、チビ太のとこへ寄り道をした。
実家は出たが、主の家も最寄りは赤塚駅。
家からおでん屋台は歩いて10分くらいの近場にある。
だから時々、チビ太のおでんで1杯やってから帰っていた。
「何きもちわりーこと叫んでんだバーロー」
「オレはもうダメなんだぁっ!」
俯けば滝のように流れ落ちる涙。
「黙っておでん食ってろっ!」
ぽいっと皿の上に大根とこんにゃくが乗せられる。
今日、あれがああなってそうなって…初歩的なミスをしてしまい、上司にこっぴどく叱られてしまった。
大根が…つゆだく大根がオレの涙でしょっぱくなっていく。
「ま、3日で逃げ出すと思ってたけど頑張ってんじゃねーか!人はそうやって叱られて成長するんだコンチキショー!」
腕を組みながら得意げに話すチビ太。
「……チビ太もおでん修行中そうだったのか?」
「あったりめーだバーロー!!今だってそうだ!おでん舐めんじゃねーっ!!」
「あっつぅっ!!舐めてない!舐めてないよ!?」
おでんのつゆを顔にかけられ酔いが覚めた。
フッ、チビ太なりの叱咤激励と受け止めよう。
「そういや、おそ松達が昨日来て、オメェを心配してたぞ?実家に全然顔出してねーのか?」
「あぁ、そろそろ帰ろうとは思ってるんだけどな」
「そうかい」
チビ太はそれ以上詮索してこなかった。
オレの気持ちを察してくれたのかもしれない。
ハニーとの暮らしは愛に包まれ幸せな日々だが、苦楽を共にしたブラザー達と離れるのは…正直なところ、寂しかった。
大の大人が情けない話だ。
並大抵の覚悟で家を出たわけではない。
オレにとっては一大決心だった。
だから、帰るタイミングをなかなか掴めずにいたんだ。