第66章 愛のカラ騒ぎ 次男END
会社に着きマイデスクに着席すると、
「ま・つ・のくんっ!おっはー!」
「ああ、おはよう」
同期でデスクが隣同士の牌出化伊予(ぱいでかいよ)さんが挨拶してきた。
栗色のボブで顔はやや童顔。
男にウケるが、女には嫌われるタイプのガールだな。
まぁ、このオレには主という心に決めたデスティニーがいるから、何の下心もなく接しているが。
「ねーぇ、いつになったら苗字呼んでくれるのー?」
「え?そ、そうだったな…えーと」
呼びづらい。
いや、呼べない。
なんでこんなに躊躇してしまうんだ?
なぜだかハニーに悪い気がするんだ。
あと、社会的にも悪い気がする。
余談だが、牌出化さんはGカップ、GREATのGだ。
なぜ知っているのかというと、カラ松アイズが見定めたわけじゃない。
カラ松ゴールドフィンガーが確かめたわけでもない。
本人が新歓で誰も聞いてないのに暴露したんだ。
…本当に関係ないことだったな。
「フッ、時が来たら呼ぶさ」
「なにそれーっ、変な松野くんっ!」
ぷくっと頬を膨らませている。
ん?
オレは今、なぜトッティの顔を思い浮かべたんだ?
いや、他のブラザーも全員同じ顔だが。
…そうだな。
家を出てから一度も実家に帰ってないし、そろそろ土産でも持って帰るとするか。
みんな寂しがっているに違いない。
「松野くん、朝のミーティング始まるよっ」
「わかった」
よし、今日も会社中にオレという存在を焼き付けるとしよう——。