第65章 ※ライジング思考スキーと呼ばないで 三男END
「僕、決めたから」
どう思われたっていい。
キミに笑って欲しい。
こうなったら、月に届くくらいライジングしてやる。
「今はまだ駆け出しだけど、絶対出世してみせる。僕の貯金が貯まったら同棲しよう。同棲したら、どんなに忙しくても週に一度はデートして、美味しいご飯を食べに連れて行くから。自炊は…苦手だけど僕も頑張る!今のご時世、家事は男女でシェアするのが一般的だからね。喧嘩をした時は、感情的にならずMTGして相互理解を深めよう。そして安心して欲しい。キミを不安にさせぬよう、この僕の綿密なリスクマネジメントにより、二人の人生設計は常に上昇気流に乗ることをフルコミットする!そして、僕が一人前の男になったら、その時は……親衛隊長は卒業するから」
深呼吸をする。
緊張や恥ずかしさを空気と一緒に飲み込んだ。
「…僕の、お嫁さんになって」
へんてこで前のめりなプロポーズ。
どうだろう?
応えてくれる…かな?
「——ふふっ、もうっ、まだ同棲してもいないのに…」
肩を震わす主ちゃん。
「そんなに、耳までまっかっかにしながらっぷっ……あっははははっ!!は、はいっ!!よろしくっ、お願いしますっ!!」
過呼吸になるんじゃないかと思うくらい笑われてしまった。
だけど、今までにないくらい、キラキラとした笑顔だった。
「なんだよ。これでも僕、真剣なんだから」
「ふふふっ、ご、ごめんごめんっ!」
「…時間無いから、目、閉じて」
柔らかな唇にキスを落とすと、笑い声が消えていく。
主ちゃんの腕が、僕の首に絡みつく。
思いをぶつけるように、夢中になって主ちゃんを求めた。
がむしゃらになっちゃって、きっと下手くそなキスだっただろう。
けれど主ちゃんは、そんな僕の思いをどこまでも優しく受け止めてくれた。