第65章 ※ライジング思考スキーと呼ばないで 三男END
「そういやオメェ、主ちゃんとは暮らさないのか?」
「フッ、社員寮じゃまだまだ同棲はお預けだな」
すっかり酔ったカラ松兄さんは、僕の肩に腕を回してきた。
「近い近い!きもちわるいっ!!…本当はさ、今すぐ主ちゃんと同棲したいけれど、まずは貯金0円スタートだからね。しばらくは寮生活だよ。そしてお金を貯めて、ローンを組んで、夢は赤塚の高層マンション最上階!!もしくは庭付き一戸建て!!」
「あれ?またライジング始まっちゃった?」
「え?どういう意味?」
「そのまんまの意味だよ!ライジングシコースキー兄さんっ!」
トド松がそう言うと、ドッと笑いが湧き起こった。
結局さんざんからかわれたけれど…。
みんな、僕の就職を喜んでくれた。
心からのエールを送ってくれた。
この日を境に、おそ松兄さんと僕は一言も話さなくなった。
出発の時も、兄さんは部屋から出てこなかった——。
胸の中にわだかまりを残したまま、僕は実家を出た。
そして、新しい生活がはじまった。
・・・