第65章 ※ライジング思考スキーと呼ばないで 三男END
「あーもうっ、何で俺が長男なんだよ!長男って何?長男を抜いて三男が先に自立とか笑えねーよ。俺は一生遊んで暮らしたいの。まだ親に甘えていたいの。みんなもそうだとばかり思ってた。でも違った。それだけで何でこんなにイライラすんだよ!余裕なくなんだよ!」
「違うでしょ?おそ松くんだって、本当はそれじゃダメだって気づいてる」
「…あいつみたいにさ…彼女がいたら、俺も変われんのかな?………主ちゃんが、俺の、彼女だったら……」
パーカーの袖に顔を埋めているので、声がこもって上手く聞き取れない。
「俺……羨ましかったんだよ。主ちゃんが、あいつの……———」
「…あの、上手く聞こえなくて…わたしが、何?」
「……」
返事はなく、黙り込んでしまった。
聞こえなかったことを謝ろうと口を開いた瞬間、
「ワリィ、取り乱した」
一言だけそう言った。
「おそ松くん…」
「…ありがとな。長ったらしい話聞いてくれて」
「ねぇ、わたし、おそ松くんのことずっとずっと応援する。ううん、六つ子のみんなを応援する!辛い時、わたしでよければ何だって話聞く。だから——」
突然、パッと繋がっていた手が離れた。
「チョロ松のこと、よろしく頼む」
おそ松くんは立ち上がり、鼻の下を擦ってニカッと笑った。
そこにいたのは、いつもの優しくて面白いお兄ちゃんだった。