第65章 ※ライジング思考スキーと呼ばないで 三男END
それから二人で、チョロ松くんあるあるを話して笑い合っていたけれど、
「明日、あいつ主ちゃんの親に挨拶するんでしょ?」
唐突に話題は明日の話へ。
「うん、いいタイミングだからって言ってた」
「タイミング?なんの?」
「な、なんのって…」
おそ松くんはポカンとしている。
その様子を見て気がついた。チョロ松くんはまだ就職が決まったと伝えていないんだ。
自分で話すと言っていたので話をはぐらかす。
「付き合って半年以上経つから…かな?」
「えー?もうそんなになる?信じらんねー!」
「そうだよねっ!わたしもあっという間だった…!」
未だに照れ屋なチョロ松くんを思い出し、顔がほころぶ。
あのウブさを思い出すと、交際期間半年過ぎたことがなんだか信じられない。
「あいつさー、最近わかりやすいくらいソワソワしてんだよ」
「うーん、明日が終われば元に戻るんじゃないかな?」
「いや、なんか隠し事してる。気を使われすぎてきもち悪いし——主ちゃんはなんか聞いてんだろ?」
探るように顔を覗き込まれ、ドキリと胸が高鳴る。
「隠し事?分からないけど…」
「……あいつに口止めされてんだな」
皮肉っぽくニヤリと笑うおそ松くん。
なーんでもお見通しとでも言いたげな目つきだ。
おそ松くんっていつも面白くておちゃらけているけれど、時々鋭い一面を見せる。
「……ごめん、わたしからは」
「うん?」
「わたしからは…何も言えない。チョロ松くんを、待ってあげて」
とぼけた方が良かったのかもしれない。
でも、今のおそ松くんにはどうしても見透かされてしまいそうで。
これが…わたしにとって最善の選択肢だった。