第65章 ※ライジング思考スキーと呼ばないで 三男END
主人公視点
きたる明日、チョロ松くんがいよいようちに挨拶に来る。
(きっと今頃、緊張してソワソワしているんだろうなぁ)
困ったように眉尻を下げ、への字口をキュッと結んでさ——。
わたしも何だか落ち着かなくて、一人スタバァでお茶をしていた。
珍しく空席だった窓際のカウンターに座り、夕暮れ時の駅前を眺めながらラテに口をつける。
と…。
——コンコン…
外からガラスをノックされた。
おそ松くんだ。
ガラス越しに目が合うと、両手を頭の後ろで組んで笑っている。
そんな彼に手招きすると、すぐ自動ドアが開き、注文を終えた真っ赤なパーカーが、わたしの右隣にやって来た。
「よっ!今日もかわいーねー!」
「ふふっ、調子いいんだから。寒いのにフラペチーノ頼むなんて、子供は風の子だねっ」
「あら、感動の再会早々ひねりの効いた嫌味ー?頼み方分かんないから、オススメくれって言ったらこれが出てきたんだよ。冬限定とかなんとか」
「あははっ!おそ松くんらしいかも!」
おそ松くんはクリームを一口すくってわたしの口元に持ってきた。
「悪いからいいよ?」
「大丈夫だって。はいあーんして?」
「じゃあ、いただきます!」
パクッと食べると、クリームの甘さに加え、すり潰したりんごの甘酸っぱさと、バター香るブラウンシュガーソースの風味が口の中に広がった。
「…美味しい」
「どれどれ…ん、よくわかんないけど、一軍の味だな」
(一軍の味ってなんだろ?)
おそ松くんは、クリームの下のフローズンドリンクをストローでちゅうっと飲むと、にんまり笑った。