第65章 ※ライジング思考スキーと呼ばないで 三男END
「んまっ!!んまーーいっ!!」
「はい、また肉焼けたよ」
おそ松兄さんの皿はすぐに空く。
「うまいっ!!うまいよーー!!」
十四松は焼けた肉を片っ端から奪い取る。
「フッ、みんな落ち着くんだ。頼むからオレにも野菜だけでなく肉を食わせてくれ…」
お人好しなカラ松兄さんは、肉争奪戦で圧倒的敗者らしい。
というか、カラ松兄さんの皿にある肉を一松がひたすら盗み食いしている。
「みんなー、野菜もバランスよく食べないと美容に良くないよ?んー苦うまー!」
頬に手を当てながら、ピーマンと肉を口に放り込むトッティ。
「あぶらみぷるぷるー」
「女子かっ!?」
「ってゆーかチョロ松兄さん、ボク達勝手に焼いて食べるから兄さんも食べなよ?さっきからお皿空っぽじゃん」
「あ……そうだね」
言われて気がついた。
焼いてばかりで一つも口をつけてなかった。
「なにチョロ松〜、おまえ俺らの第二の母になってくれんの〜?甲斐甲斐しく世話しつつ養っちゃう感じ?」
「誰が第二の母だっ!!大体、さっきからお前一人で肉食い過ぎなんだよ!!」
おそ松兄さんの皿から肉をヒョイと奪う。
「あーーっ!人のカルビ様取んなよ!!」
「食ってばっかいないで自分で焼け!!」
「じゃあぼく焼いてあげるーー!!」
「十四松兄さん、ボクが焼いてる玉ねぎの上に肉乗せないで?」
みんな豪華な夕飯にはしゃいで騒いで。
うるさいし腹立つけれど、やっぱり楽しいな。
でも、来月からは一人でご飯食べるのか。
「あーー!?またオレの肉がっ!?ギブミーカルビイィィイ!!」
「……はい」
「おぉ…一松よ……って炭!?」
言わないと。
『就職が決まった』って。
ちゃんとみんなに…言わないと。
僕は、箸を皿の上に置いた。