第64章 ※トッティの葛藤 末弟END
言葉巧みな話術に引っかかった主ちゃんは、少しごきげんななめだ。
「もう!仕事の話になるなら事前に教えてよ!トッティは彼氏として挨拶に来てくれたんだから!!」
「ははははっ!実を言うと、松野くんの顔を見てから仕事の件を決定しようと思っていてな。目を見れば、2秒で人となりが分かるだろ?ダメだと思ったら、適当に話して帰ってもらおうと思っていた。お前の友達だから、気分を悪くさせたら申し訳なかったしな。でもやはり、俺の目に狂いはなかった。この子なら安心して仕事を任せられる」
そうだったのか…。
ボク、試されていたんだ。
「今まで、ちゃんとした挨拶出来ずすみませんでした!仕事のお話も声をかけていただき、本当に…ありがとうございます!これからよろしくお願いします!!」
気をつけして頭を下げた。
「わ、わたしからもよろしくお願いします!」
主ちゃんも立ち上がりお義父さんに頭を下げる。
「2人ともそんな畏まらないでよ。こちらこそよろしくな、トッティ!」
「お父さん!?恥ずかしいから急にあだ名で呼ぶのやめて!!」
「お父さんもトッティと仲良くなりたいからな!」
「アハハッ!気軽にトッティって呼んでください!」
・・・
その後、3人でお見舞いに行き、主ちゃんのおかあさんにも挨拶を済ませた。
主ちゃんに良く似た、キュートな笑顔のおかあさんだった。
…余談だけど、おかあさんにもトッティって呼ばれた。
あったかくて優しくて面白い、ステキな家族だった。
将来ボクも、あんな風に笑顔の絶えない家庭を築きたいな。
なんてねっ。
この日の夜、ボクは夢を見た。
ボクの目の前に、一軍の扉へと続く白い階段が現れる夢を……———。