第64章 ※トッティの葛藤 末弟END
お父さんは両手を組んで、トッティを威圧的に真っ直ぐ見つめた。
「単刀直入に聞こう…松野くんさ——」
二人して固唾を飲んで次の言葉を待つ。
少しの間が空き、重い口がゆっくりと開かれた。
「——うちで働かない?」
「…えっ?」
それまでとは一変し、お父さんはふわりと微笑む。
「ずっと勤めていた子が今月いっぱいで辞めるんだ。主の女友達を紹介してもらおうと思ってたけど、いろいろ考えて君を誘いたくなってね。はじめはバイトからスタートしてもらうけど、ゆくゆくは正社員として雇おうと思っている。それに…」
一瞬だけわたしをチラ見し、
「今後、この子は本格的に製造に回ってもらう予定なんだ。だから君の笑顔でうちのケーキを沢山の人に売って欲しい」
トッティの肩をポンと叩いた。
「お、お父さん…そんな急な話」
「お願いしますっ!!」
「トッティ?」
トッティが、両手を机について深く頭を下げた。