第64章 ※トッティの葛藤 末弟END
「…ボクよりちょっと早く生まれただけで、偉そうにすんなよ」
「おい!今なんつった?」
おそ松兄さんがトド松の胸ぐらを掴んだ。
「いつもいつも付きまとってさ…ボクだっていい大人なんだから、もうほっといてよ!」
「んだとテメーーッ!!」
ヤバい。
止めないと。
おそ松兄さんの拳が、トド松の頬目掛けて飛んで行く。
僕が瞬時に十四松に目配せすると、十四松も気づいていたようで、即座に二人で止めに入った。
十四松が後ろからおそ松兄さんを羽交い締めにし、僕は二人の間に入る。
「何すんだよお前ら!!邪魔すんじゃねーーっ!!」
「やめろおそ松!!トド松も喧嘩ふっかけんな!!」
「…グスッ……うぅ…っ」
強がってたけど怖かったみたいで、トド松の目からポロポロと涙が溢れていく。
異変に気付き一松が関節技を解くと、カラ松兄さんと二人無言で布団の上に座った。
「トッティ、騒いでごめんね」
「なんで十四松兄さんが謝るの?」
「もうみんな寝るから、一緒に布団で寝よー?居間で寝たら風邪ひいちゃうよ?」
カラ松兄さんと一松が、布団を綺麗に整えて枕を6つ並べ始めた。
「なんだよ…それ」
握りしめた拳で涙を拭うトド松。
「ほっといてっつったじゃん!」
「みんなで寝よー?」
「ボクを…悪者にもさせてくれないのかよっ!」
「……十四松、もういい離せ」
一番に布団に入ったのはおそ松兄さんだった。
その後すぐ消灯したんだけれど、トド松の鼻をすする音はしばらく止むことがなかった。
トド松の態度が急変した理由は誰も聞かなかった。
あいつが話すとも思えないし。
ただ一つ分かるのは、『友達』と会ってから様子が変だってこと。
(何か酷いことでも言われたのかな?)
なんて考えてるのがバレたら、またほっといてって怒りそうだから、僕は心の声を胸に閉じ込めたのだった。