第64章 ※トッティの葛藤 末弟END
『就職』
この二文字が重くのしかかる。
まんま、アリとキリギリスの世界だよね。
幼稚園ぐらいから読み聞かせられてさ、あーそーですか、へーぇぐらいにしか思ってなかった。
気がついた時にはもう遅かった。
同世代カースト圧倒的最底辺かつ暗黒大魔界クソ闇地獄カーストの住民になってしまっていた。
6人全員ニート。しかも童貞。
ま、まぁ童貞は一足先に卒業出来たけど…。
共倒れならぬ六つ倒れ。
兄さん達は焦らないのかな?
SNSでリア充アピールし、キラッキラしてる同世代を見ても、何とも思わないの?
変わりたいって思わないの!?
最底辺で悶々とした日々を過ごしていたボクにも、ついに念願の彼女が出来た。
ボクはそんな大切な彼女に嘘をついている。
都心のオシャレなカフェ店員だと偽り、スタバァで得た知識をひけらかして、さも今働いてます風なデタラメを並べている。
バレるのなんか、時間の問題だ。
無意識に何度目かも分からないため息がこぼれ落ちる。
そういえば、主ちゃんと初めて二人きりになって話したのもこのベンチだったな。
(ボク、あの頃から変わったところあるかな?主ちゃんはお店の為に精一杯努力してるのに…)
夜空を見上げた。
曇っていて星が見えない、真っ暗な夜空だった。
まるで、先行き不安なボクの未来そのものな、そんな空。
(…明日から早起きして、仕事探そう)
嘘を本当にするんだ。
だって、これからも主ちゃんと一緒にいたい。
二人で手を取り合って前に進んでいきたい。
それに…ボクが頑張れば、兄さん達だって目を覚ますはずだ。
生き恥を晒しまくってるって気づくはずだ!
(引き上げるって約束したしね…)
決意を新たに立ち上がる。
残ったミルクティーをがぶ飲みし、公園を後にした。
・・・