第63章 ※月松 300拍手御礼話
絶対来るなと言われたが、心に大寒波襲来だったオレは、自由という名のフルチンになって主の待つ風呂場に行った。
心も身体も主で満たしたかったんだ。
最高にクールな表情を決め込んで扉を開けた。
—ガラッ—
「マイハニー…背中を洗ってやむぐっ!?」
「来ないでって言ったでしょ!!」
…入った瞬間、主が投げてきた石鹸がインザマウスした。
口からシャボンが飛び出す。
「ご、ごめん…イライラしててつい…って、あははははっ!口っ、口から泡がっ!」
笑ってくれて何よりだが、石鹸がクソマズかったのですぐ吐き出し、シャワーで口をゆすいだ。
「おい主!さっきからベランダに閉じ込めたり悪ふざけが過ぎるぞ!!」
「ベランダはごめん…一人の時、閉め切ってるからいつもの癖で…。でもお風呂はホントにダメ!出てって!!」
「……分かった、そんなに嫌なのか」
ハートブレイクしたオレは風呂に入らず、主が風呂から出た後オンリーロンリネスバスタイムを過ごした。
・・・
風呂から上がりバスローブに身を包む。
タオルで髪を拭きながらテレビを見ていると、ほうじ茶を持ったハニーがオレのところに来た。
「さっきはごめんなさい、はいお茶」
「あ、あぁ…」
お茶は温かいが心は凍え死にそうだ。
そんなオレに気づいたのか、主は気まずそうに口を開いた。
「…生理中なの」
「え?」
「だから、イライラしてたし、お風呂も恥ずかしいから一人がよくて…ちゃんと伝えなくて、ゴメン」
「なんだ、そうだったのか」
お茶をテーブルに置き、主の手を握った。
「生理……フッ、今夜のお前はムーンガール…プリンセスかぐやというわけか」
「……」
「そしてオレはサンシャイン!安心しろ、今夜はどこまでも優しくお前という月を照らそう!」
「ちょっと、分からないかな」
照れ屋で不器用なハニーの腹を優しくさする。
「無理やり風呂に入って悪かった。辛さは分かってやれないが…落ち着くか?」
「ふふっ…あったかいよ、ありがと」
下腹にそっとキスすると、照れくさそうに微笑む主。
そんなハニーを抱きしめ、静かな夜を二人で過ごしたのだった。
次男の場合 fin