第63章 ※月松 300拍手御礼話
次男の場合
眠らない街、東京の夜は…実に空虚だ。
上辺は賑やかで華々しいが、人々の心は孤独でカラっ風が吹いている。
体裁だけ取り繕うように煌びやかな街は、本来そこにあるものを見えなくさせていた。
それは、人との本物の触れ合い、優しさ、思いやり、そして……。
「見えなくてもオレには分かる。ほら主、見てみろ。あの夜空の向こうから、何億年前もの輝きがオレ達を見守っている…」
都会の寂しい灯りに消されてしまった、スターライト達。
オレにはちゃんと届いているぜ!
センキューカラ松スターズ!!
「寒いのに、ベランダ開けっ放しで何をしてるかと思えば…」
「フッ、星と語り合ってた」
呆れ顔の主。
そんな顔をしてもお見通しさ。
照れ隠しで冷たく振る舞うだけで、本当は見惚れてたんだろ?
これはアレだ、雨の中ワザとずぶ濡れになりたい症候群の一種だ。
フフーンッ!
「寒いから閉めるね」
マイハニー。
寒くたっていいじゃないか。
二人でいれば、いつでも温め合えるだろ?
「アックションッ!!」
おっと、いけない。
そろそろカラ松スターズと別れの時間だ。
「クラックションッ!!」
え、ホント寒い。
何コレ寒い。
ムリだコレ。
死んでしまう。
「主、よかったらこれから一緒にひとっぷろ…………って、え?おいっ!?開けてーーーっ!!」
やれやれ。
鍵をかけるなんて、悪戯好きなマイハニーだ。
今夜もたっぷり躾が必要だな。